『生と死』は、人類が古くから考えてきた普遍的なテーマであり、これは西洋絵画でも多くの画家たちがこのテーマをモチーフに作品を描いてきました(⊙_⊙')
そしてこのような絵画は生命の躍動と死の静寂が交錯する瞬間をギュっと凝縮し、鑑賞者に深い思索を促す力を持っているのです。
そ・こ・で!
今回は”生と死”をモチーフにして描かれた恐ろしくも美しい西洋絵画を12点ピックアップして紹介していくので、ぜひお楽しみください(ΦωΦ)フフフ・・
Contents
『生と死』/グスタフ・クリムト
『生と死』/グスタフ・クリムト
グスタフ・クリムトの代表作のひとつ『生と死』は、1910年から1915年にかけて制作された油彩画で、現在はオーストリアのウィーンにあるレオポルド美術館に所蔵されています(⊙_⊙')
左側には死を象徴する骸骨、反対側には生を象徴する人間たちを描き、左右対称の構図を作り出している点が作品として高く評価されており、またクリムトの研究者スティーヴン・ザッカーは
クリムトの想像力は、これまで描いてきた肉体的な結合や強烈な喜び、奇跡的な美と若さの瞬間ではなく、それに先立つ期待に焦点を合わせている。この新たな平穏はクリムト自身が老いと死への接近を意識したことに根ざしたものかもしれない」
と語っています_φ( ̄ー ̄ )
『兵士と死神』/ハンス・ラーウィン
『兵士と死神』/ハンス・ラーウィン
引用:Among.live
『兵士と死神』は第一次世界大戦と第二次世界大戦の両大戦を生き抜いたドイツの画家、ハンス・ラーウィンが描いた戦場の様子です(⊙_⊙')
銃口を構え果敢に攻撃する兵士ですが!?
その背後には彼を抱き抱えている死神が描かれており、生と死が隣り合う戦場の恐ろしさをダークに表現していますね(*´Д`*)
『ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像』/アルノルト・ベックリン
『ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像』/アルノルト・ベックリン
ハンス同様に2つの大戦を経験し、19世紀における象徴主義の画家として活躍したベックリンは『ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像』で死神に魅せられている自分の姿を描いています(⊙_⊙')
戦争を経験し、生と死が身近にあったことが作品に多大な影響を与えたことが窺い知れますが、他にもこの絵には
- 死の恐怖や運命の不条理を表現した作品
- 芸術の永遠性を表現した作品
などの解釈も存在します_φ( ̄ー ̄ )
『死と乙女』/エゴン・シーレ
『死と乙女』/エゴン・シーレ
シーツの上で抱き合う男女が描かれていますが、男性の方は作者であるエゴン・シーレ自身で、女性の方はシーレの恋人ヴァリとなっています(⊙_⊙')
描かれているのはシーレがヴァリに別れを告げているシーンで、シーレが彼女に『死をもたらしている』ことを表現している...
という非常に恐ろしくも哀しい絵画となっています(*´Д`*)
またエゴン・シーレはウィーン美術アカデミーを中退後に仲間たちと『新芸術集団』を結成した1910年〜1918年に世を去るまでを、モデルとなった女性たちの関係を中心に、死の直前の数日間の姿を交えながら描いた画家としても有名です_φ( ̄ー ̄ )
『オフィーリア』/ジョン・エヴァレット・ミレイ
『オフィーリア』/ジョン・エヴァレット・ミレイ
ミレイの代表作であり、ヴィクトリア朝芸術における最高傑作と言われている本作はシェイクスピアの戯曲『ハムレット』に登場するオフィーリアが狂気に取り憑かれ、花を摘んでいる最中に川に落ちて死んでしまう様子を描いています。
ちなみにですが、オフィーリアのモデルとなったのは当時19歳のエリザベス・シダルという女性で、ミレイはシダルに服を着せた状態でバスタブの中に横たわるように指示したのです。
が!!!
季節は冬でミレイは水を温めるためにバスタブの下にオイルランプを置いていたものの、描くことに集中し過ぎて火が消えたのに気づかずw
その結果、シダルは風邪を引いてしまい、彼女の父親がミレイに治療費として50ポンドを請求したという逸話が残されています〆(・∀・@)
『死を考える』/フリーダ・カーロ
『死を考える』/フリーダ・カーロ
メキシコで最も偉大な芸術家と言われ、生涯に渡って200点以上の作品を世に残したフリーダ・カーロはその大半は自画像でした(⊙_⊙')
『死を考える』もそんな作品の1つですが、カーロは晩年、病気でほとんどの時間を寝たきりで過ごし、その中で『死は避けられない』と悟ったのです。
フリーダ・カーロ(1932年)
また美術評論家アントニオ・ロドリゲスに自画像を描くことについて質問された際、カーロは
と語っています。
また彼女の夫であり画家のディエゴ・リベラは
と評しています_φ( ̄ー ̄ )
『???』/ヤコポ・リゴッツィ
タイトル不明/ヤコポ・リゴッツィ
この作品はイタリアの画家・ヤコポ・リゴッツィが17世紀頃に描いたとされるタイトル不明の作品です(⊙_⊙')
リゴッツィは宗教画や神話画、生物学的な緻密な動植物画でよく知られた画家ですが、この作品も腐敗し虫がたかる男の頭部をリアルに描いており、男の濁った眼には『死』の虚無感を感じることができますね(*´Д`*)
『戦死者たちのフィールド』/イーヴリン・ド・モーガン
『戦死者たちのフールド』/イーヴリン・ド・モーガン
こちらは19世紀のイギリス象徴主義美術のパイオニアとされるラファエル前派の女性画家、イーヴリン・ド・モーガンの作品です(⊙_⊙')
イーヴリンは神聖、伝説的な絵画を社会的なメッセージを込めて描くことを好んだ画家で、この作品も多くの死者の魂を『死の天使』が天国へと導く様を描いています。
イーヴリン・ド・モーガン
モーガンは17歳の誕生日の朝、日記に
と記し、美術学校に行かせてくれるように両親を説得していますが、思春期の頃すでにこのような死生観を持っていたことが後の作品に大きな影響を与えたと言えるでしょう_φ( ̄ー ̄ )
『死の床にあるルイーズ・ヴェルネ』/ポール・ドラロッシュ
『死の床にあるルイーズ・ヴェルネ』/ポール・ドラロッシュ(ドラローシュ)
これは『エリザベス1世の死』や『レディ・ジェーン・グレイの処刑』などの死をモチーフにした絵画を多く残しているフランスの画家、ポール・ドラロッシュが病で死の床に横たわる最愛の妻・ルイーズを描いた作品です(⊙_⊙')
『レディ・ジェーン・グレイの処刑』/ポール・ドラロッシュ
ドラロッシュは歴史画で知られる画家でしたが、歴史を常に正確に描いていたわけではなく、例えば上述した『レディ・ジェーン・グレイの処刑』では地下牢での処刑の様子が描かれていますが、実際のジェーン・グレイはロンドン塔内のタワー・グリーンで処刑されているため事実とは異なっています。
しか〜し、彼の作品は当時のフランス社会やヨーロッパ各国に大きな影響を与え、現在でも世界各国の美術館で展示されていることから偉大な画家であることだけは確かな事実なのです(ΦωΦ)フフフ・・
『死と守銭奴』/ヤン・プロヴォスト
『死と守銭奴』/ヤン・プロヴォスト
15世紀後半〜16世紀前半に活動した宗教画家、ヤン・プロヴォストが描いた『死と守銭奴』は強欲な守銭奴と骸骨の2枚絵(2枚の絵画作品で構成)となっています(⊙_⊙')
守銭奴が骸骨に手紙のようなものを渡していますが、骸骨はまるで『俺には賄賂は通用しないよ』と言ってるかのようで、守銭奴の死期が近いことが窺い知れますね_:(´ཀ`」 ∠):
『死せる母』/エドヴァルド・ムンク
『死せる母』/エドヴァルド・ムンク
ムンク作・死と春
この作品は『叫び』でお馴染みのムンクが事切れて横たわる母と少女を描いたものですが、実はこの横たわっている母親はムンクの別作品『死と春』で描いた遺体を左右反転させて使っているんです👀
そしてこの母親のモデルはムンクの姉・ソフィーで、この作品以外にも彼の多くの作品に登場していますが、ソフィーは14歳の時に結核で亡くなっており、姉の死は幼少期のムンクに大きなトラウマを与えたのです。
そのような背景から、ムンクは多くの作品で姉がモデルの死をテーマにした絵画を制作したと考えられますね(*´Д`*)
『戦争の顔』/サルバドール・ダリ
『戦争の顔』/サルバドール・ダリ
最後は戦争の醜さを※シュールレアリスム的に描いたダリの代表作で締めましょう(ΦωΦ)フフフ・・
砂漠の背景に骸骨チックな顔、その周りには群れを成した蛇、瞳には小さな骸骨が複数描かれており、死の絶望感をヒシヒシと感じさせます。
ダリはスペイン内戦と第二次世界大戦を経験した際に、人間に対して大きな絶望を感じており、『戦争の顔』は、そのような人間の醜さや愚かさを表現していると解釈されています。
また周囲の荒廃した風景や骸骨は、戦争によって破壊された世界を象徴し、ダークな色調は戦争の暗い影を表していると取れますね_φ( ̄ー ̄ )